「破局」を読む

 芥川賞が発表されるとしばらくして文藝春秋に受賞作品が載る。毎回、雑誌が発行されるのを待って買って読む。今回の受賞作品は2作だ。9月号が発売されたらすぐに買ってまず高山羽根子の「首里の馬」を読んだ。ときどき考え込まねばならない箇所もあった。読み終わるのに時間がかかった。それから1か月後に遠野遥の「破局」を読んだ。これはすぐに読めた。
 後者について書く。石原慎太郎が「太陽の季節」で受賞したときはその露骨な内容が話題になった。遠野の作品はそれほど騒がれない。性が書かれることに対し読者、評論家はもう慣れっこになっているのだろうか。何ということもない青春小説と言えばそれまでだが、芥川賞受賞作品ともなればそれだけで語ることはできない何かがあるだろうと思って読みすすめたが。が、やはり青春小説だ。性交の好きな主人公と二人の女性友達との交流が中心の物語だ。今の若者は、大学生はこんなにも性交が好きなのかと驚きながら読んだ。他の事はあまり書かれていない。というと間違いで、どうということもない些末なことはいろいろ出てくる。筋の展開には関係がないことばかりだ。詳しい内容は省略する。
 大学4年の主人公が1年の女子学生と友達になった。二人の学生生活はほとんど描かれていない。ベッドでのあれこれが多くを占める。この女学生の性欲を満足させられなく、逃げられる主人公が後を追う。それを痴漢と思ってさえぎる人に暴力をふるう。警察沙汰になる。これが「破局」だ。主人公は公務員試験の1次を合格している。エントリーシートを提出し、面接試験を受ければ公務員になれる。しかし、それは夢に終わる。なんでもない内容だ。他の芥川賞候補作品を読んでいないのでわからないが、これよりも賞にふさわしい作品があるはずだ。8人の選考委員の2時間に及ぶ討議を経ての決定だから、素人が口をはさむ余地はない。その資格もない。「首里の馬」はもう一度じっくりと読み直したい。

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